普天間基地移設をめぐる宜野湾市民の願いと現実

日米政府の米軍普天間基地移設に関する合意文書

民主党政権において、政府が目指している「移設」先は、沖縄県の米軍キャンプ・シュワブ(名護市)の陸上案やホワイト・ビーチ(うるま市)の沖合案、さらに鹿児島県・徳之島などといわれていましたが、民意を無視した状況下の中、2010年5月22日(土)日米政府は、米軍普天間基地移設に関する合意文書の全容を固めました。

日米合意文書のポイント

●キャンプ・シュワブ沿岸部(名護辺野古)を埋め立てる現行計画の環境影響評価の手続きを遅らせない
●自衛隊との共同使用を検討
●移設計画の詳細は次の日米安全保障協議委員会(2プラス2)までに策定
●普天間のヘリコプター部隊の一部訓練を沖縄県外へ移転(鹿児島県・徳之島は明記せず)
●沖縄本島東にある米軍訓練水域の一部返還を調整
●日米訓練や米軍単独訓練の県外移転拡大で、嘉手納基地周辺の騒音を提言

5月22日(土)までの実務者協議では、現行計画との違いをアピールする狙いから移設先を 「辺野古周辺」と幅広くしたい日本側と、現行アセスの枠内に収めたい米側が対立し、最終的に日本側が米国の主張を受け入れた形になっています。


普天間基地移設をめぐる政府と沖縄県の温度差

では、普天間基地周辺住民の願いはどこにあるのでしょうか?
沖縄戦後から現在までの歴史の中で、結果として住宅密集地のど真ん中に存在している「世界一危険な基地」を、ここから撤去して欲しいということだけは、どんな人にも共通する長年の願いなのは確かです。

沖縄県や宜野湾市の民意は、「米軍基地のない平和な沖縄(宜野湾市)」ですが、果たしてその民意は、日米政府間の取り決めに少しでも反映する余地があるのでしょうか?

それに対して、かなり疑問視されています。民意より、日米同盟のほうが重要だという考えも根強くあるのです。もちろん、心情的には、米軍基地はないに越したことはないというのが一般的ですが、よく考えると、その分、自衛隊が命を懸けて日本を守らなくてはならなくなりますし、もちろん防衛費もいまより格段に増額するといわれています。

フィリピンの例にもあるように、中国共産党からの指示を受けたフィリピンの永住権を持つ中国系住民と、フィリピン国籍を持つ中国系住民が米軍撤退運動を始め、フィリピン政府もそれを承諾し、米軍は撤退を強いられました。その後、待ってましたとばかりに中国がフィリピン領の周辺諸島を侵略したのです。フィリピンは、慌てて米軍に戻ってもらうことを依頼しましたが、既に時遅しという現実があるのです。

そういうことが当然、沖縄や日本にも起こりうると考えられます。そのことを知っている沖縄県民は、むやみに基地反対はしていないのですが、報道では、沖縄県民全体が反対運動しているように見えてしまうことが問題だと感じています。

基地問題よりも、もっと心配されていることは、今後、民主党が外国人地方参政権を国会で提出しようとしていることです。この法案が通れば、集団で外国人が移住することにより、合法的に沖縄はあっという間にのっとられる可能性が高くなると考えている沖縄県民も多いのです。


普天間基地移設問題も、立場によって住民の考え方は異なります

沖縄県民や普天間基地周辺住民が、全員が基地撤去を望んでいるわけではないのです。それぞれの立場において考え方は異なります。普天間基地を取り巻く宜野湾市民には、大きく分けるといくつかの立場があります。その立場によって、考え方も願いも違ってくるのです。

(1)普天間基地内で働く、軍雇用員とその家族

普天間基地が完全に返還されると、普天間基地内で働く軍雇用員(約200名)は失業することになります。もし、辺野古に移設したとしても、移住してまでそこに就職することは現実的に困難です。軍雇用員は、沖縄県内の企業に勤めるよりかなり高給ですので、それと同等の職業に就くのは非常に難しいのが現実です。

(2)普天間基地内に私有地(軍用地)を持っており、現在も周辺に住んでいて直接基地被害を受けている人

(3)普天間基地内に私有地(軍用地)を持っており、直接基地被害を受けていない人(沖縄県外在住を含む)

軍用地を持っている人は、一般的に、「危険な基地は撤去」してほしいが、その結果、「軍用地料」の収入がなくなり、「固定資産税」の支出だけになるのはキツイと考えている人が多いです。年金代わりに軍用地料を当てにして生活している人も多いのが現実なので、基地反対運動には積極的に参加することはあまりないと思います。普天間基地返還が実現しても、都市開発が進み、その土地を活用・換金できるのもいつになるかわからないので(最低10~20年かかると考えています)、自分が生きている間は、軍用地料が入る状態であることを内心願っている場合が多いのです。

(4)普天間基地内に私有地(軍用地)を持たないが、周辺に住んでいて直接基地被害を受けている人

(5)普天間基地内に私有地(軍用地)を持たず、直接基地被害を受けていない人(沖縄県外在住を含む)

軍用地を持っていない人たちは、金銭的利害がありませんので、純粋に「基地のない平和な沖縄」を願い基地反対運動に参加する割合が多いと思われます。しかしながら、当然のことですが、「普天間基地の危険」はなんとしても早期に取り除いて欲しいが、沖縄県から米軍全部が撤退するべきだ!と考えている人たちばかりではありません。

普天間基地移設問題は、日本じゅうに波紋を投げかけました。このことで、日本人がいま一度、近隣諸国(特に中国)からの危険を感じ、日米安保をもう一度確認し、日本としてどのように日本に安全を守っていくのか、これを考えるキッカケになったことが最大のメリットだと感じます。

普天間基地が返還されたときには、次には宜野湾市が新たな都市計画をもとに都市開発を行うことになります。宜野湾市の住民として、宜野湾市の発展に対して多いに期待しているところです。


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